日本昆虫学会第84回大会・第68回日本応用動物昆虫学会大会 合同大会

講演情報

口頭発表

[G] 系統・生物地理・進化・種分化

2024年3月31日(日) 09:00 〜 11:30 G会場 (小会議室8)

09:45 〜 10:00

[G-25] 形態測定による,セダカコブヤハズカミキリ地理的変異の再検討

◯星崎 杉彦1、日下部 良康2 (1. 東大・農、2. 横浜市)

飛べない昆虫の外部形態はしばしば地理的に多様化する.その理解を深めることは,地史や過去の環境変動がどのように昆虫の進化に影響したかを考えることにもつながる.飛べない甲虫の一種セダカコブヤハズカミキリ(セダカ)は,関東から九州にかけて主に山地の落葉広葉樹林帯に生息する.体の各所に個体間・地域間の変異が認められ,15もの亜種が記載されている.しかし,記載文を読んでも標本箱を見つめても,セダカの地理的変異の全体像を把握することはこれまで難しかった.
 本研究では,より客観的なアプローチとして,クラシックな形態測定学の手法を用いてセダカの形態変異を検討した.目的は,主に亜種を解析単位として,形態変異の地理的パターンを明らかにすることである.材料の制約はあるものの,全亜種について9部位の計測値を得た.共通主成分分析CPCAと正準判別分析CVAを併用して,体プロポーションに関する亜種間の違い(あるいは類似性)を評価した.結果をもとに,地域変異がうまれた進化過程の一端を考えてみたい.