日本昆虫学会第84回大会・第68回日本応用動物昆虫学会大会 合同大会

講演情報

口頭発表

[G] 発生学・遺伝学

2024年3月31日(日) 13:30 〜 14:45 G会場 (小会議室8)

13:30 〜 13:45

[G-32] 国内の産雌型ネギアザミウマ系統におけるピレスロイド剤抵抗性原因遺伝子変異T929I/K1774Nの由来推定

◯上樂 明也1、桑崎 誠剛1、富澤 優衣2、相澤 美里3、園田 昌司2 (1. 農研機構・生物機能、2. 宇都宮大・農、3. 香川県・防除所)

重要害虫のネギアザミウマでは、産雌型と産雄型の異なる2つの生殖型が国内で確認されている。国内で合成ピレスロイド剤抵抗性が確認されたネギアザミウマ系統は、いずれも標的遺伝子である電位依存型ナトリウムチャネル遺伝子上に抵抗性の主要因と考えられるアミノ酸変異をもつが、複数の異なるアミノ酸変異のうち、T929I/K1774N変異のみが両生殖型で共通して確認されている。T929I/K1774N変異をもつ産雄型系統は、1990年頃に海外から国内に侵入したと考えられているが、国内の産雌型系統における同変異の由来は不明である。そこで本研究では、産雌型系統におけるT929I/K1774N変異が、海外から侵入した産雄型系統との遺伝子交流により国内で獲得された可能性について次世代シーケンサーによる全ゲノムSNP情報を用いた解析により検討した。この結果、T929I/K1774N変異をもつ国内のネギアザミウマ系統は、産雄型だけでなく産雌型についても海外で過去に同変異を獲得した系統が国内に侵入したものと推定され、国内での遺伝子交流により獲得された可能性は低いことがわかった。本発表では、昨年度の報告の続報として、以上の推定に関する解析結果について報告する。