[G] 発生学・遺伝学

[G-34] ハマベハサミムシ Anisolabis maritima から見出された性決定遺伝子 doublesex のエキソン重複

◯千頭 康彦¹、大津 樹²、道羅 英夫^1,3、後藤 寛貴^1,2 (1. 静岡大・理、2. 静岡大・創科技院、3. 静岡大・グリーン研)

革翅目昆虫は、尾毛が大きく発達しハサミ状を成す尾鋏のほかに、一対のオス生殖孔と陰茎や巨大なオス交尾器といった繁殖形質にも他の昆虫目には認められない特徴を有す。繁殖形質におけるこの固有派生的状態の獲得にはどのような発生プログラムの変更があったのだろうか。本研究では、革翅目における繁殖形質の進化的起源推定を目指し、その足掛かりとしてハマベハサミムシを題材に昆虫類の性決定遺伝子たる doublesex を同定した。予想外にも、本種の doublesex はその機能に必須な DNA 結合領域を含むエキソンが重複するという他の昆虫目には認められない特徴を示した。本発表では、ハマベハサミムシの doublesex の配列解析と、DNA 結合領域を含む 2 つのエキソンそれぞれについての機能解析の結果を紹介し、本種に至る doublesex の進化史について議論する。