日本昆虫学会第84回大会・第68回日本応用動物昆虫学会大会 合同大会

講演情報

ポスター発表

[PG01] ポスター発表(一般A:コアタイム1)

2024年3月29日(金) 11:30 〜 12:30 桜(一般) (桜)

[PG01-05] フタホシコオロギにおけるクチクラ色素合成に関わる遺伝子の機能解析

岸 伸旺1、◯渡邉 崇人2,3、井上 慎太郎2、濱口 汰暉1、石丸 善康4、宮脇 克行2、高橋 章5、二川 健6、野地 澄晴3、三戸 太郎2 (1. 徳島大・院創成科学、2. 徳島大・BIRC、3. (株)グリラス、4. 徳島大・院社会産業理工、5. 徳島大・院医歯薬・予防環境栄養、6. 徳島大・院医歯薬・生体栄養)

昆虫の外骨格であるクチクラの色は種によって多様性に富んでいる。本研究では不完全変態昆虫のモデル種として使われるフタホシコオロギを用いて、クチクラの黒色色素(メラニン)合成のメカニズムを明らかにすることを目的とした。コオロギの黒色色素の合成酵素ファミリーの11遺伝子をクローニングし、それらの機能をRNA干渉によって解析した。そのうちの1遺伝子について、ほぼ全身のクチクラが黄色化した表現型を得た。この遺伝子の機能喪失の表現型をさらに詳細に解析するため遺伝子ノックアウトを行いホモ接合変異体を得た。その変異体の幼虫および成虫では、全身の大部分の体色が黄色化もしくは褐色化していた。本研究の結果から、当該遺伝子はコオロギの全身の黒色色素の合成に関わると考えられる。しかしながら、遺伝子ノックアウトで完全には黒色が失われないことから、黒色色素合成には複数の遺伝子が働いていると予想される。また、成長段階によって変異体の体色が変化することから、コオロギの色素合成は時期と組織によって異なる調整を受けていると考えられる。さらに、遺伝子ノックアウト解析をより効率化するために、DIPA-CRISPR法の導入を試みており、合わせて報告したい。