[PG01-11] 類似の”剪定”枝産卵を行うハムシとゾウムシー植物の茎防衛メカニズムと行動の適応的意義における共通性・特異性を探るー
植食性昆虫と植物との被食防衛をめぐるせめぎ合いは、様々な化学・形態・行動的な進化を促した。特に植物内部へ産卵を行う植食性昆虫の場合には、産卵時から多様な適応が生じていると考えられる。植食性昆虫の一部において、茎への産卵時に枝につく葉を全て切り落とすという、まるで「剪定」のような行動が見られる。これはこうした産卵時の植物の何らかの防衛に対する適応と考えられるが、植物の茎防衛メカニズムについては知見が不足しており、行動の適応的意義は未解明であった。
本研究では、カタビロハムシ(寄主植物マルバアオダモ)とシロオビアカアシナガゾウムシ(寄主植物ヤマアジサイ)を用いた人為卵移植・葉切断を伴う野外操作実験を行った。その結果、葉を切り落とさないと、ハムシは卵〜孵化直後での致死率が増加し、ゾウムシでは幼虫の成長遅延が生じることが分かった。このことは、それぞれが異なる植物防衛メカニズムへの適応として剪定産卵行動を進化させたことを示唆する。さらにハムシの場合では、植物の遺伝子発現量解析から、茎への産卵に対して(1)葉の有無によらず誘導防御反応が起きること、(2)葉での植物壁合成が抑制されること、が分かり、植物の茎防衛における葉―茎ネットワークに関し新しい知見が得られた。
本研究では、カタビロハムシ(寄主植物マルバアオダモ)とシロオビアカアシナガゾウムシ(寄主植物ヤマアジサイ)を用いた人為卵移植・葉切断を伴う野外操作実験を行った。その結果、葉を切り落とさないと、ハムシは卵〜孵化直後での致死率が増加し、ゾウムシでは幼虫の成長遅延が生じることが分かった。このことは、それぞれが異なる植物防衛メカニズムへの適応として剪定産卵行動を進化させたことを示唆する。さらにハムシの場合では、植物の遺伝子発現量解析から、茎への産卵に対して(1)葉の有無によらず誘導防御反応が起きること、(2)葉での植物壁合成が抑制されること、が分かり、植物の茎防衛における葉―茎ネットワークに関し新しい知見が得られた。