[PG01-14] 人工飼料を用いた、スナムグリヒョウタンゾウムシ(コウチュウ目:ゾウムシ科)の室内累代飼育
クチブトゾウムシ亜科昆虫はその多くが農業害虫として知られ、幼虫期には植物の地下部を、成虫期には地上部を食害する。その生態の解明や防除試験を実施するにあたり、生植物や生鮮食品を利用した飼育法がこれまでに確立・活用されてきた。しかし、それらの手法では地中生活者である幼虫の観察は困難であり、防除や生態学・発生学的課題の解決のために必要となる、生活史などの基礎的な知見はこれまでにほとんど得られていない。
そこで我々は、クチブトゾウムシ類の幼虫発生の観察が可能な、より簡便な飼育手法を確立することを目的に、人工飼料によるスナムグリヒョウタンゾウムシ(Scepticus tigrinus)の室内飼育を試み、新成虫の獲得に成功した。S. tigrinusでは鞘翅表面の鱗片細胞内の微細構造による構造色に起因する、生息地背景への隠蔽擬態と思われる色彩多型を有し、RNA干渉による遺伝子機能解析が有効である。このことから、S. tigrinusの累代飼育手法の確立は、クチブトゾウムシ類の防除を見据えた生態の解明に寄与するのみならず、構造色研究におけるモデル生物としての利用可能性をもたらす。本発表では、我々が開発した飼育系の詳細と課題、そして今後の展望について報告を行う。
そこで我々は、クチブトゾウムシ類の幼虫発生の観察が可能な、より簡便な飼育手法を確立することを目的に、人工飼料によるスナムグリヒョウタンゾウムシ(Scepticus tigrinus)の室内飼育を試み、新成虫の獲得に成功した。S. tigrinusでは鞘翅表面の鱗片細胞内の微細構造による構造色に起因する、生息地背景への隠蔽擬態と思われる色彩多型を有し、RNA干渉による遺伝子機能解析が有効である。このことから、S. tigrinusの累代飼育手法の確立は、クチブトゾウムシ類の防除を見据えた生態の解明に寄与するのみならず、構造色研究におけるモデル生物としての利用可能性をもたらす。本発表では、我々が開発した飼育系の詳細と課題、そして今後の展望について報告を行う。