日本昆虫学会第84回大会・第68回日本応用動物昆虫学会大会 合同大会

講演情報

ポスター発表

[PG01] ポスター発表(一般A:コアタイム2)

2024年3月29日(金) 12:30 〜 13:30 桜(一般) (桜)

[PG01-16] シリアゲムシ類 (Mecoptera; Panorpidae)で観察された幼虫期の死にまね行動について

◯石原 凌1、松村 健太郎2、宮竹 貴久2 (1. 信州大学理学部、2. 岡山大学農学部)

死にまね行動は主に捕食者回避行動として進化したと考えられており、昆虫31目のうち10目で報告されている。しかし、これまでシリアゲムシ目昆虫の死にまね行動に関する報告はなかった。シリアゲムシ科の幼虫は円筒形の体を有し、腹部に腹脚を持ついわゆるイモムシの形態を有し、昼間は地中に潜み、夜間に地表で活動する半地中性の生活様式を送るとされているが、幼虫の生態に関する知見は乏しい。今回発表者らは、シリアゲムシ科の2種、ヤマトシリアゲPanorpa japonicaとプライアシリアゲP. pryeriの幼虫が、外部からの刺激に反応して死にまね行動を示すことを発見し、また各幼虫齢期で死にまねの形態や持続時間について調査を行ったので、その結果を報告する。死にまね行動の頻度を調べた結果、ヤマトとプライアの幼虫は真っ直ぐな姿勢のままの「棒」と、身体を球状に丸めた「丸」の2つの異なる姿勢の死にまね行動を示した。ヤマトとプライアの1齢幼虫は、そのほとんどの個体が棒の死にまね姿勢をとった。幼虫齢が進むにつれて、2種のシリアゲムシでは丸の死にまね姿勢をとる個体が増加し、4齢後期幼虫では2種ともにほとんどの個体が丸の死にまね姿勢をとった。なぜ幼虫齢によって死にまね姿勢等が変化するのかについて考察する。