[PG01-19] 凍結保存されたスピロプラズマを用いたナミテントウにおけるオス殺し実験
オス殺しは共生細菌により引き起こされる現象の一つであり、生まれてくる子供のオスのみが卵の段階で死ぬ現象である。共生細菌スピロプラズマは、ナミテントウのオス殺しに関与することが知られる。ナミテントウのメスは一般にオスより体格が大きく、卵巣発達させる必要があり、えさとなるアブラムシを沢山食べる。そこで、我々は、このオス殺し現象を害虫駆除に利用し、生物農薬としての性能をアップさせることができると考えた。まず、北海道からナミテントウを採集し、16S rRNAアンプリコンシーケンス解析を行い、感染するバクテリアの種類を調査した。次に、スピロプラズマ感染の検出方法を改良し、迅速で確実な検出方法を作製した。感染したメス個体からスピロプラズマを抽出し、非感染のナミテントウの幼虫に人工感染させたところ、次世代でオス殺しが起きた。マイナス80℃で凍結保存された卵巣からスピロプラズマを抽出し、同様の方法で感染実験を行ったところ、次世代でオス殺しとスピロプラズマ感染を確認できた。これらのことから、冷凍保存されたスピロプラズマを感染実験に用いた場合でも、次世代に伝播し、オス殺しを起こすことから、スピロプラズマを安定的な接種源として用いることができることが明らかになった。