[PG01-25] ミツバチヘギイタダニ寄生がセイヨウミツバチ群に与える影響
ミツバチヘギイタダニ(Varroa destructor、以下ヘギイタダニ)はミツバチの外部寄生性ダニで、寄主の脂肪体を摂食して直接ダメージを与えるとともに、蜂病ウイルスも伝播してミツバチの健全性を脅かす。ヘギイタダニの影響は、寄生個体のみにとどまらずコロニーの崩壊も招き、特に冬季のコロニー崩壊の主な要因と認識されている。しかし、ヘギイタダニ寄生によるコロニーの崩壊過程は不明である。本研究では、ダニ寄生がコロニーに与える影響を解析するため、セイヨウミツバチ(Apis mellifera)のコロニー内の環境変化を解析した。ミツバチのコロニーでは、卵や幼虫(蜂児)が育つ蜂児圏は通常34℃付近に保たれる。また、採餌行動により巣箱の重量は一日の間に決まったパターンで増減する。そのため本研究では、巣箱内の蜂児圏に温度センサー、巣箱下部に重量センサーを取り付けたIoT巣箱を用い、一定時間ごとに連続的にデータを取得し、巣箱内の環境変化を解析した。ヘギイタダニ寄生群では採餌活動の低下に加え、蜂児圏の温度低下がみられた。ダニ寄生率が低い時期から蜂児圏の温度低下が起こっており、ダニ寄生が早期から蜂児の発育に負の影響を与えると考えられる。