[PG01-28] ノゼマ症感染ミツバチの排泄パターンに対する餌の影響
ミツバチのノゼマ症の原因となる微胞子虫Vairimorpha (Nosema)は、世界各地のセイヨウミツバチ群から検出され、採蜜量の低下や蜂群崩壊への関与が指摘されている。本微胞子虫は、糞とともに排泄された胞子の摂食により経口感染するため、感染個体の排泄パターン解明は、巣内、巣外における感染伝搬の理解のために欠かせない。また、感染個体の栄養摂取は、中腸上皮細胞における微胞子虫増殖に影響を及ぼすと考えられる。そこで本研究では、セイヨウミツバチの羽化2日未満の成虫を、砂糖水摂食群、砂糖水+花粉摂食群、砂糖水+代用花粉摂食群に分け、各群の半数にVairimorphaを接種し、14日間飼育して、排泄回数、排泄量、死亡率、死亡時(又は生存14日目)の腸内の微胞子虫胞子数の違いを検証した。試験は7月と10月の異なる季節に、異なるセイヨウミツバチ群を用いて2回実施した。微胞子虫感染は死亡率に影響しなかったが、花粉や代用花粉摂食によって寿命が延長するとともに腸内胞子数が増加した。しかし、餌の種類が生存や排泄パターンに与える影響の一部は、7月と10月で異なり、セイヨウミツバチの群間差や季節差が考えられた。