[PG01-39] フェモラータオオモモブトハムシの構造色形成にメラニン合成系遺伝子は関与するか?
構造色をもつ甲虫の多くは、クチクラ層内の多層膜上の微細構造によって構造色を発色している。したがって、クチクラの形成に関わる遺伝子は、多層膜構造の形成と特定の光波長の構造色発色に関与していることが考えられる。昆虫のクチクラの形成に関わる経路としてメラニン合成経路がよく知られている。本研究で扱うフェモラータオオモモブトハムシSagra femorataの体色は構造色を示し、クチクラのepicuticle層に多層膜構造が存在する。本種蛹化直後にメラニン合成系遺伝子の発現を抑制し、構造色が形成される体表の各光波長の反射率を測定した。遺伝子の発現抑制による構造色の変化を定量化することにより、構造色の形成に、メラニン合成に関わる遺伝子が関与しているかを調べた。結果、DDC(DOPA decarboxylase)遺伝子の発現を抑制した個体において、コントロール個体とは異なる光波長の発色が見られた。この結果とクチクラ層のSEM断面図の比較から、メラニン合成系遺伝子がどのように本種の構造色形成に関わっているか考察する。