[PG01-48] 渓流の光環境と水生生物群集-物質代謝の視点から-
生物多様性保全の観点から、人工林の渓畔林を広葉樹林に転換していくことが望まれているが、渓流内の光環境の変化といった視点で、これらの施策が進められることはほぼない。以前の研究において、光環境の変化によって藻類量や藻類を食べる水生生物の個体数がどう変化するのかを解析すると、珪藻類の繁茂やヨコエビ個体数には、強い光ではなく、木漏れ日のように優しく明るい光が継続して入り込んでいることが必要であることが分かった。光環境によって個体数が変わるということは渓流生態系自体も異なったものになるということを意味している。そこで、渓畔林による日射遮断に着目し、渓畔林の伐採や流域の森林伐採による光環境の変化が生態系に及ぼす影響について、安定同位体比を使って水生生物の物質代謝という視点で迫ってみると、光環境によって代謝に変化が生じる傾向が見られた。現在解析中であるが、その一端を紹介する。