日本昆虫学会第84回大会・第68回日本応用動物昆虫学会大会 合同大会

講演情報

ポスター発表

[PG01] ポスター発表(一般A:コアタイム1)

2024年3月29日(金) 11:30 〜 12:30 桜(一般) (桜)

[PG01-51] 昆虫嗅覚受容体発現センサ細胞を複数種類用いたセンサアレイによる
農作物カビ病由来成分の識別手法の検討

◯祐川 侑司1、二木 佐和子1、黒田 枝里1、神﨑 亮平1、光野 秀文1 (1. 東大・先端研)

カビ病に罹った農作物は、1-オクテン-3-オールなどの揮発性有機化合物を複合臭として放出すると報告されている。この複合臭を検出識別できれば、農作物のカビ病の状態を判定できる可能性がある。これまでに我々は昆虫嗅覚受容体およびカルシウム感受性蛍光タンパク質を遺伝子導入したSf21細胞により、匂い成分を蛍光強度変化として検出するセンサ細胞を作出してきた。さらに、異なる嗅覚受容体によるセンサ細胞を組み合わせて利用することで、所望の匂い複合臭成分を識別する手法を提案してきた。本研究では、対象となる1-オクテン-3-オールや3-オクタノール、3-オクタノンなどを検出可能な嗅覚受容体を発現した複数種類のセンサ細胞を利用し、匂い識別の可能性を検討した。既存のキイロショウジョウバエOr13a受容体発現センサ細胞に加えて、同Or47aおよびOr98a受容体をそれぞれ発現したセンサ細胞を新たに作出し、それらを利用した複合臭成分について実際に応答特性評価を行った。複数の嗅覚受容体によるセンサ細胞でのセンサアレイにより、含まれている匂い成分の種類や濃度に応じて異なる応答パターンが取得できることを確認した。アレイ化した特性の異なるセンサ細胞をカビ病由来の匂い複合成分の識別に活用できる可能性を示した。