[PG01-52] キイロショウジョウバエ嗅覚受容体遺伝子を導入したSf21細胞の系統化による高応答細胞株の獲得
我々は、昆虫の嗅覚受容体を培養細胞に発現させることで、高感度でリアルタイム性を備えた匂い検出素子を開発し、匂い検知に利用する技術の確立を進めている。キイロショウジョウバエの嗅覚受容体、共受容体、カルシウム感受性蛍光タンパク質を共発現させたSf21細胞は、発現させた受容体の匂い応答スペクトルに従って対象臭に応答し、カルシウムイメージング計測により匂いの強弱を蛍光強度の変化として取得できるセンサ細胞として機能する。今回、カビ由来の揮発性有機化合物を対象臭とする嗅覚受容体(Or98a)を用い細胞作出を行った。しかし、培養細胞に目的遺伝子を導入し薬剤によるスクリーニングを行っても、匂いに対する応答が低い細胞や全く応答しない細胞が多数を占めていた。匂い検出素子に利用するためには、より安定的に高感度性を示す細胞の獲得が必要である。そこで、遺伝子導入したSf21細胞から単一細胞を単離して均質な細胞集団を獲得する手法により系統化を行った。その結果、遺伝子導入後の不均質な細胞集団の中にごく僅かに含まれていた高応答細胞系統の獲得に成功した。