日本昆虫学会第84回大会・第68回日本応用動物昆虫学会大会 合同大会

講演情報

ポスター発表

[PG01] ポスター発表(一般A:コアタイム1)

2024年3月29日(金) 11:30 〜 12:30 桜(一般) (桜)

[PG01-59] 深層学習を用いた主要植物寄生性線虫3群の判別手法の開発

◯与謝野 舜1,2、孫 健強2 (1. 農研機構・植防研、2. 農研機構・農情研)

現在の線虫診断においては、顕微鏡下で目視によって線虫を識別する必要があり、これには専門的な知識・技術を要する。また、診断に対応可能な専門家の数が限られることから、線虫の検査は広く行われておらず、重要な線虫が検出される機会が限定的、というのが現状である。線虫の識別をサポートするツールがあれば線虫診断のハードルが下がり、線虫害の早期発見等に役立つと考えられる。そこで本研究では、深層学習による画像認識を用いることで、画像中の線虫を属レベルで識別可能な判別器の開発を試みた。植物寄生性線虫の中でも特に被害の大きいネコブセンチュウ(Meloidogyne属)、ネグサレセンチュウ(Pratylenchus属)、シストセンチュウ(Heterodera属)及び自活性線虫を対象とし、生物顕微鏡を用いて線虫の画像を撮影し、撮影した画像の一部を訓練データとして物体検出アルゴリズムによる線虫検出及び画像認識モデルによる線虫判別を行った。作成したモデルの予測性能の評価を行ったところ、予測精度は約80%であり、線虫の識別において画像認識モデルが有用であることが示唆された。一方、画像内で不明瞭な線虫は判別が困難だったため、線虫を明瞭かつ簡易的に撮影可能な方法の検討も必要だと考えられた。