[PG02-03] カシノナガキクイムシの宿主選択に関わる揮発性物質に対する触角の応答
カシノナガキクイムシ(カシナガ)はブナ科樹木萎凋病の原因となる菌を運搬する森林害虫である。樹幹内で羽化した新成虫は、宿主から飛び立ち、新たな宿主木を発見すると樹幹内に穿入する。その際、集合フェロモンを放出することによって、多くの他個体を誘引することがわかっているが、カシナガどのように宿主木を選択するかはわかっていない。われわれはカシナガの宿主木選択のメカニズムを解明することを最終目的として、集合フェロモンと宿主木から放出される揮発性物質などに対する触角電図を測定した。その結果、宿主木の乾燥葉から豊富に放出されているトランス-2-ヘキセナール、宿主・非宿主どちらの葉にも共通の主成分である、2-エチル-1-ヘキサノールに強く応答することがわかった。さらに、集合フェロモンであるケルキボロールに対しても強く応答した。一方で、宿主・非宿主の葉から微量に放出されているデカナールにはほとんど反応しなかった。その他の物質の触角電図も合わせて、各物質の個体の誘引性との関係について議論する。