[PG02-05] 白きょう病菌Beauveria bassiana GHA株における病原力遺伝子破壊株の作製
Beauveria属やMetarhizium属などの広宿主域の昆虫寄生菌において、チョウ目昆虫を宿主として多数の病原力遺伝子が同定されている。しかし、病原力遺伝子の選択性(その遺伝子が病原力因子として機能する宿主昆虫の範囲)に関する知見は少ない。害虫防除資材として利用されている広宿主域の昆虫寄生菌において、益虫選択的な病原力遺伝子が存在するならば、その機能の破壊により害虫選択性の改良が可能であるので、病原力遺伝子の選択性の理解は重要である。演者らは、温室害虫などの防除に利用されており捕食性天敵のタバコカスミカメにも強い病原力を示す白きょう病菌B. bassiana GHA株について、病原力遺伝子の同定と選択性の解明を進めている。まず既知の病原力遺伝子を対象として、チトクロムP450遺伝子Bbcyp52x1、ABCトランスポーター遺伝子BbPdr5、AMP活性化プロテインキナーゼ遺伝子BbSNF1の選択性を明らかにするため、その遺伝子破壊株の作製を行った。アグロバクテリウムによる遺伝子導入と相同組換えにより標的遺伝子を破壊した後、対象遺伝子の周辺領域のPCRにより遺伝子破壊株を選抜した。現在、遺伝子破壊株の害虫および天敵類に対する病原力の評価を進めている。