[PG02-09] 脱出予定孔を探し接着剤で封入することでクビアカツヤカミキリの羽化を阻止できるのか
バラ科の樹木に被害を与えているクビアカツヤカミキリの幼虫は、蛹化前に材内に蛹室を形成するとともに羽化脱出に利用する脱出予定孔を外樹皮付近まで形成することがある。こうした幼虫による脱出予定孔の事前作製は、成虫の材部穿孔能力が低い可能性がある。従って、人為的に脱出予定孔から材入孔を塞ぐことで、本種成虫を材内に閉じ込めることによる防除が可能かもしれない。本研究では、栃木県足利市内のサクラを対象に、脱出予定孔を探し接着剤で封入することで成虫の羽化脱出を阻止できるのかを野外検証した。結果、接着剤で封入した脱出予定孔のうち、すべてではないものの多くの成虫の羽化脱出を阻止することができた。一方で、脱出予定孔が事前に確認できなかったにも関わらず、羽化脱出してきた成虫も確認され、これへの対応は今後の課題といえる。本研究は生研支援センターイノベーション創出強化研究推進事業「相次いで侵入した外来カミキリムシから日本の果樹と樹木を守る総合対策手法の確立(04015C1)」による支援を受けた。