[PG02-11] カシノナガキクイムシの初期坑道の形成とノズル型殺虫剤の施用
ナラ枯れは、病原菌をもったカシノナガキクイムシが健全なナラ類、シイ・カシ類の樹幹に穿孔することで樹木を枯らす伝染病である。樹幹にトンネル状の坑道を形成したカシノナガキクイムシを駆除する方法として、ノズル型殺虫剤の施用が考えられる。そこで、クヌギとコナラの丸太を用いてカシノナガキクイムシを飼育し、未交尾オスのみの坑道、交尾後2週目および4週目の坑道の長さと形状を調べた。クヌギおよにコナラ丸太に形成された坑道長(平均±SE、cm)は、未交尾オスのみでそれぞれ3.0±0.1および2.9±0.2、交尾後2種目でそれぞれ10.8±2.1および9.0±0.7、同4週目でそれぞれ15.9±0.7および11.8±1.2であった。交尾後4週目には、クヌギ丸太内の坑道では分岐が見られなかったが、コナラ丸太では長さ0.3~1.7cmの分岐が見られた。野外のコナラ丸太で、成虫穿入後4週目の穿入孔にノズル型殺虫剤を施用したところ、フラスの排出が止まる孔が見られ、高い防除価が得られた。本研究は生研支援センターイノベーション創出強化研究推進事業(体系的番号:JPJ007097)「With/Postナラ枯れ時代の広葉樹林管理戦略の構築」(課題番号:04021C2)により実施した。