日本昆虫学会第84回大会・第68回日本応用動物昆虫学会大会 合同大会

講演情報

ポスター発表

[PG02] ポスター発表(一般B:コアタイム1)

2024年3月30日(土) 11:30 〜 12:30 桜(一般) (桜)

[PG02-13] ウンシュウミカンを加害するオオタバコガの発生

◯松山 尚生1、衛藤 夏葉1 (1. 和果試)

2021年9月に和歌山県有田市において、鱗翅目の幼虫によるウンシュウミカン果実の穿孔被害が発生した。この幼虫を採集して同定したところ、ウンシュウミカンの加害種として国内で未報告のオオタバコガであった。それ以降、毎年県内の海南市や有田市、有田郡の各地において被害が発生している。これまでウンシュウミカンで本種の発生の報告がなかったにも関わらず近年急に被害が認められた理由として、新たにウンシュウミカンを加害する系統が出現した可能性が考えられた。そこで、野菜類を加害する個体群がウンシュウミカン果実を摂食し、発育できるかを確認するため、2023年に和歌山県印南町でモロッコインゲンおよびエンドウから採集した本種の次世代の中齢幼虫をウンシュウミカンの果実上に、対照としてナスの果実上に放虫してそれぞれ摂食の程度と発育の様子を調査した。その結果、いずれの果実でも摂食が確認され成虫まで発育が認められたことから、新規系統の出現によるウンシュウミカン加害の可能性は低いと考えられた。今後は野菜類とウンシュウミカンから採集した個体群を供試して食餌の選好性試験等を行い、発生の原因を明らかにするとともに防除法を確立する必要がある。