[PG02-18] チャ寄生クワシロカイガラムシのピリプロキシフェン剤に対する感受性低下
チャの難防除害虫であるクワシロカイガラムシは、多発すると樹勢の低下を招くとともに新芽の生育を阻害し、茶樹を枯死させることもある。本種に対する主要な防除としては冬季のピリプロキシフェン剤散布が挙げられ、全国の茶産地で広く普及している。こうした中、2022年5~6月に静岡県牧之原地域を中心として本種の多発茶園が散見され、生産現場からは本剤の防除効果の低下が指摘された。そこで、2022年7月に同地域の茶園から個体群を採集し、小澤(2013)の方法を一部改変して本剤に対する感受性検定を実施した。その結果、2022年に採集した2個体群に対する感受性は高かったが、このうち1個体群では常用濃度でわずかに生存虫が確認された(補正死虫率99.3%)。これを受け、2023年に同一茶園から個体群を採集し、同様に検定を実施した結果、本剤の常用濃度(90ppm)に対して生存虫が確認され(補正死虫率99.8%)、LC50値は8.7ppmを示した。なお、2015年に同地域から採集した現地個体群のLC50値2.3ppmに対する抵抗性比は3.8倍であったことから、静岡県牧之原地域の一部茶園においてクワシロカイガラムシのピリプロキシフェン剤に対する感受性低下が確認された。