[PG02-19] ツマジロクサヨトウの天敵類に対する殺虫剤の影響評価
ツマジロクサヨトウ (Spodoptera frugiperda) は、トウモロコシを中心に80種類以上の作物を加害する越境性害虫である。本種は、近年、アジアに侵入し、その分布域を急速に拡大している。東南アジアにおける本種の管理は、単一の殺虫剤による化学的防除に依存しているが、殺虫剤抵抗性の発達が懸念されることから、IPM体系の構築が急務である。そこで本研究では、東南アジアにおいて化学的防除と生物的防除を合理的に併用するための知見を得ることを目的とし、ツマジロクサヨトウに対する有望な天敵と考えられている、スジハサミムシ (Proreus simulans) とタマゴバチの1種 (Trichogramma confusum) に対する殺虫剤の影響を評価した。実験はドライフィルム法により実施し、供試薬剤は、東南アジアで広く使用されているエマメクチン安息香酸塩乳剤、複数の国で使用が推奨されているスピネトラム水和剤、クロラントラニリプロール水和剤およびルフェヌロン乳剤とした。その結果、エマメクチン安息香酸塩乳剤およびスピネトラム水和剤を処理すると、両種は高い死亡率を示した。発表では、亜致死的毒性に関する結果を含め、現時点までのデータから考えられる殺虫剤と天敵の合理的な利用法について議論する。