[PS01-01] ツノゼミにおけるヘルメットの形態比較と相同点の検討
半翅目に属するツノゼミ科の多くの種は前胸背板が伸長しヘルメットと呼ばれる特徴的な立体構造を形成する.ヘルメットの形状はバラエティに富んでおり近縁種間でも形態が大きく異なることが珍しくない.しかしその多様性ゆえ記載等に伴う形態比較の際に混乱が生じている.そこで本研究では、ツノゼミ科に見られる多様な形状のヘルメットに関して,種間でのヘルメットの相同点の整理を目的に形態学的な検討を行った.まず、ツノゼミ科の中でも先行研究でヘルメット形態が記載されており,形態が比較的単純なSmillinae亜科を出発点として,形態比較及び種間でヘルメットに共通してみられる相同点の選定を行った.その結果選定された相同点が系統学的に離れた他亜科内の比較にも適用できるか検討した.その結果,Median point, Humeral angle, Posterior apexといったヘルメットの特定の3部位がツノゼミ科の各亜科内での形態比較にて利用可能な相同点として認められ,ヘルメット部位における亜科内の種間での対応付けが可能となった.一方で,一部の種の複雑かつ特異的なヘルメット形態には,他種の構造との対応が不明瞭な部位が認められた.今後はさらに多くの種で形態比較を行いより強固な相同点理論を構築したい.