[PS01-21] 近縁ハムシ3種間における利用資源の選好性がもたらす対立関係の検討
植食性昆虫は,しばしば利用可能な資源のうち利用により適した特定部位を優先的に消費する.そのため,同じ資源を利用する種同士が同じ部位を選好する場合,共存条件において量的に限られた資源をめぐって対立する可能性がある.そこで本研究では,同じ植物の葉を成虫および幼虫の餌資源または産卵基質として利用するジンガサハムシ(ジンガサ),スキバジンガサハムシ(スキバ)およびヨツモンカメノコハムシ(ヨツモン)の資源利用状況を,画像データを用いて比較した.その結果,3種とも葉脈間の可食部が相対的に大きい部位を主に利用していたものの,ジンガサおよびヨツモンは葉の中央部分を,スキバは外縁をそれぞれ主に利用していたため,葉そのものの利用部位はスキバと他2種とで異なった.また,ジンガサおよびスキバは食痕を避けて産卵する傾向が得られ,そうではなかったヨツモンとは産卵基質の選択条件が異なると推察された.以上より,摂食による食痕の増加は特にジンガサ類の産卵基質を減少させると考えられた.その理由は,ジンガサ類はヒルガオしか利用できないため,次世代の餌不足回避には資源量が残っている部分に産卵する必要があるものの,アサガオ類など他の植物種も利用できるヨツモンではその必要性が低いためかもしれない.