日本昆虫学会第84回大会・第68回日本応用動物昆虫学会大会 合同大会

講演情報

ポスター発表

[PS01] ポスター発表(学生A:コアタイム1)

2024年3月29日(金) 11:30 〜 12:30 桜(学生) (桜)

[PS01-41] ヤガにおける複眼の明暗順応と産卵行動との関係および寄主認識における触角の役割

◯石渡 翔悟1、堀 雅敏1 (1. 東北大院・農)

ヤガ科は複眼が暗順応から明順応状態になると,産卵や交尾,飛翔などの活動性が抑制されるとされている.一方,薄明薄暮時に活動が活発になる種も多いが,複眼の明暗順応と活動性との詳細な関係はあまり調べられてない.そこで,ヤガ科のタマナギンウワバを用い,複眼の明暗順応と産卵行動の関係および産卵場所選択に用いられる感覚情報を調査した.まず,光強度と複眼の明暗順応状態の切り替わりを調査したところ,光強度約0.01 μmol·m-2·s-1が境だと示された.次に,通常の飼育条件における暗期間中に白色照明光を与え,暗期間中の光強度と産卵数との関係を調査した.その結果,複眼が明順応状態となる0.1や1 μmol ·m-2·s-1でも,暗黒下と同様の産卵数となった.以上から,ヤガ類の活動性は複眼の明暗順応の切り替えによって制御されているのではないことが示唆された.さらに,暗黒下においてもウワバは寄主のキャベツに正確に産卵したことから,視覚以外の情報により寄主を認識して産卵したと考えられた.そこで,触角を切除した個体に産卵させたところ,切除個体は未切除個体と同様の産卵数を示すものの,キャベツ上への産卵割合が大きく低下することが示された.従って,寄主認識には触角からの情報が用いられていることが示唆された.