日本昆虫学会第84回大会・第68回日本応用動物昆虫学会大会 合同大会

講演情報

ポスター発表

[PS01] ポスター発表(学生A:コアタイム2)

2024年3月29日(金) 12:30 〜 13:30 桜(学生) (桜)

[PS01-42] 世代交番をするタマバチ(膜翅目)の両性世代と単性世代の卵成熟様式の比較

◯鄔 亜嬌1、楠見 淳子2、阿部 芳久2 (1. 九大・院・地球社会、2. 九大・院・比文)

卵成熟様式は生活様式や栄養獲得・分配など生活史戦略を考える上で重要である。タマバチ科ナラタマバチ族Cynipiniでは年1化で単性世代成虫が初夏に現れるクリタマバチDryocosmus kuriphilusだけが卵成熟様式について調べられており、斉一成熟性であることが知られていた。しかし本族の多くの種は世代交番をおこない、二つの世代間で成虫の形態や出現時期、ゴールの形態が異なる。本族の1種Cerroneuroterus japonicusはクヌギにゴールを形成し、両性世代成虫は春に単性世代成虫は冬に出現し、成虫の体サイズは両性世代の方が小さい。本種の両性世代と単性世代の雌成虫に寄主植物を与えず、蜂蜜と水を与えた場合の日齢と成熟卵数を記録した。その結果、C.japonicusの両性世代と単性世代ともに斉一成熟性と考えられた。卵数は両性世代が単性世代より少なかった。本種の斉一成熟性は、クリタマバチと同様に羽化した成虫の周囲に産卵資源が豊富にあり、移動分散の必要性の無いことによると考えられる。