[PS01-49] ニシキリギリスにおける鳴き声の役割および同期メカニズムの検証
ニシキリギリス( Gampsocleis buergeri )のオスは、「ギーッ」「チョン」という 2 種類の異なる声で鳴くが、それぞれの鳴き声が持つ生態学的意義は明らかになっていない。本種には、野外・室内ともに複数オスの存在下では同期して鳴くが、オス1頭のみを隔離するとほとんど鳴かなくなるという特徴がある。そのため、2種類の鳴き声が同期に関与している可能性を考え、「ギーッ」または「チョン」を隔離した1頭のオスに聞かせる実験を行ったところ、「ギーッ」には他のオスを「ギーッ」と鳴かせる役割が示唆された。この実験では「チョン」の役割が不明瞭であったため、「チョン」の頻度を調整した音声を聞かせ続けた際のオスの鳴き方の観察と、鳴き声の同期のメカニズムを探るために3パターンの音圧の音声を聞かせる実験を行った。これらの結果を基に、本種のオス間コミュニケーションに鳴き声が果たす役割を考察した。