日本昆虫学会第84回大会・第68回日本応用動物昆虫学会大会 合同大会

講演情報

ポスター発表

[PS01] ポスター発表(学生A:コアタイム2)

2024年3月29日(金) 12:30 〜 13:30 桜(学生) (桜)

[PS01-60] 外来種マツヘリカメムシにおけるRickettsiaの感染状況

◯松本 くるみ1、古賀 隆一2、細川 貴弘1 (1. 九州大学、2. 産業技術総合研究所)

Rickettsiaはさまざまな生物に感染する細胞内共生細菌であり、昆虫類では宿主に負の影響を与える例だけでなく、病原微生物への耐性付与などを通して宿主の適応度に正の影響を与える例も知られている。宿主集団への感染は主に垂直伝播によって維持されると考えられているが、水平伝播の可能性も示唆されている。北アメリカ原産のマツヘリカメムシLeptoglossus occidentalisは、近年アジア・ヨーロッパ各地に分布を拡大している外来種で、マツ類を広く食害する。日本国内では2008年に東京で初記録されて以来、年々分布を広げており、最近ではマツ育種場で被害が発生している。本種はRickettsiaに感染していることが報告されているが、詳しい系統や感染状況、宿主に与える影響については不明である。本研究では分子系統解析をおこなったところ、本種に感染するRickettsiaR. belliiに近縁であることが明らかになった。また、日本全国の集団から369個体を収集して感染状況を調査したところ、感染率は70.7%(261個体)であり、地域によってばらつきが大きかった。定量PCRやFISHによる感染部位や感染密度の調査、飼育実験による垂直伝播率の調査の結果についても合わせて報告する。