[PS02-101] ダイズシストセンチュウTRP-Vチャネル阻害剤の探索
ダイズシストセンチュウ(Soybean cyst nematode: SCN)はマメ科植物の根に寄生する害虫である。今回我々はこの防除のため、昆虫において重力や振動を感知するタンパク質であるTRP-Vチャネルに着目した。TRP-VチャネルはモデルセンチュウであるCaenorhabditis elegansにおいては温度感知に関与し、そのアゴニストは昆虫の行動撹乱を介した殺虫剤として使用されている。本研究ではSCNの新規殺線虫剤の創薬の可能性を検討するために、TRP-VチャネルアゴニストのSCNの行動への効果を検証した。温度走性アッセイにより2期幼虫は30℃刺激を忌避する負の温度走性を示すことを明らかにした。そしてTRP-Vチャネル遺伝子の発現抑制およびTRP-Vチャネル阻害剤を処理した両個体群の負の温度走性が低下したことからTRP-Vチャネルが温度走性に関与していることが明らかになった。続いて、アブラムシのTRP-Vチャネルの選択的アゴニストであるafidopyropenを処理すると負の温度走性が低下したことにより、afidopyropenはSCNの温度走性を撹乱させることが明らかになった。今回は同時に他の昆虫TRP-Vチャネル阻害剤の効果についても報告予定である。