[PS02-12] 青色光毒性に起因する組織傷害および作用機構の解明
本研究では紫外線や青色光照射による光毒性が傷害を引き起こす組織について調査した. Canton-S(CS)とwhite(w)の雌成虫に,先行研究で高い致死効果を示した375(UV-A),420,470 nm光を照射し,全暗条件の対照区と比較した.頭部のパラフィン切片を作成し,HE染色による組織学的形態観察を行ったところ,wにおいては,いずれの波長でも視葉に組織の空胞化が認められた.特に,375 nm区では中央脳で組織の空胞化が確認され,神経変性を起こしていることが示唆された.しかし,CSでは375 nm区においては中央脳での空胞化が観察されたが,420および470 nm区では空胞化が確認されなかった.さらに,視葉にも顕著な空胞化は確認されなかった.そこで,次に傷害が起きる可能性が高い組織として,腸をCSの雌成虫を用いて調査した.DNA損傷の指標となるH2Avとアポトーシスの指標となるDcp-1を抗体を用いて免疫蛍光染色した.その結果,375および420 nm区ではDNA損傷とアポトーシスが引き起こされ,470 nm区ではアポトーシスのみが引き起こされることが示唆された.この結果から,少なくとも中腸の上皮細胞で傷害が起こること,また,波長により傷害の作用機構が異なることが示唆された.