[PS02-16] RNAseq法を用いたマメコガネの嗅覚受容体候補遺伝子の解析
マメコガネ(Popillia japonica)のオスはメスの放出する性フェロモンである(R)-japonilureに誘引される。一方で、光学異性体である(S)-japonilureはオスの誘引を阻害する。Japonilureの(R)体と(S)体はオス触角にあるそれぞれの異性体に特異的な嗅受容細胞により検出される。しかし、これらの異性体に対する嗅覚受容体は同定されておらず、性フェロモンの分子認識機構はよくわかっていない。そこで本研究では、マメコガネのオス成虫触角で発現する性フェロモン受容体候補遺伝子の探索を行った。成虫触角について雌雄別にde novo RNAseqを行い、類似性検索から133個の嗅覚受容体候補遺伝子 (PjapOR)を見出した。性フェロモン受容体遺伝子はオス触角で優勢的に発現することが予測される。そこで雌雄間で発現変動遺伝子解析を行ったところ、3個のOR遺伝子がオスで有意に発現量が高いことが示された。これらのうち、PjapOR16、PjapOR17はアミノ酸配列の一致度が67%と顕著に高く、構造が類似した匂い物質をリガンドとすることが推測された。これらの結果は、PjapOR16、PjapOR17がマメコガネの性フェロモン受容体をコードしている可能性を示唆している。