日本昆虫学会第84回大会・第68回日本応用動物昆虫学会大会 合同大会

講演情報

ポスター発表

[PS02] ポスター発表(学生B:コアタイム2)

2024年3月30日(土) 12:30 〜 13:30 桜(学生) (桜)

[PS02-18] 不完全変態昆虫におけるBTB転写因子Chronologically inappropriate morphogenesisとAbruptの幼虫期維持機能

◯門嶋 眞奈1、大門 高明1、大出 高弘1 (1. 京都大学大学院 / 農学研究科)

昆虫の多様性を生んだ完全変態の進化の至近要因を理解するためには、派生的な完全変態と祖先的な不完全変態の制御機構の比較が有効である。近年、完全変態昆虫においてChronologically inappropriate morphogenesis (Chinmo)、Abrupt (Ab)及びBroad-complex (Br) の3つのBTB転写因子が変態制御の鍵因子として報告されている。不完全変態昆虫においては、Brに関する報告はあるものの、ChinmoやAbの変態制御における具体的な役割はまだ解明されていない。そこで本研究では、不完全変態昆虫であるフタホシコオロギに焦点を当て、これら2つの因子の変態制御における機能を調査した。その結果、ChinmoとAbが幼若ホルモンシグナル下流の転写因子であるKrüppel homolog 1の発現を幼虫終期に促進することにより、Brと同様に幼虫期の維持に働くことが明らかとなった。本研究により、不完全変態昆虫において類似した機能を持つ3つのBTB転写因子群Chinmo、Ab、Brの機能分化が、完全変態の進化に関与する可能性が示唆された。