[PS02-20] ニッポンクサカゲロウ緑色色素の精製と生合成酵素の検討
ニッポンクサカゲロウ(Chrysoperla nipponensis)は幼虫と成虫で体色が異なる完全変態型昆虫であり、成虫は鮮やかな緑色の体色をもつ。また、冬の時期に体色を茶色に変える個体が存在する。成虫の体表色素に関する報告が過去に数例あるものの、緑色色素生合成の制御機構に関する報告はない。そこで本研究では、ニッポンクサカゲロウが有する緑色色素の構造や生合成経路に関する知見を得ることを目的とした。
ニッポンクサカゲロウの成虫を磨砕した後、各種カラムクロマトグラフィーで精製し、複数の色素を得た。得られた色素をQ-TOF MSにより質量分析し、体色を構成する色素の一つをbiliverdinと同定した。そこで、クサカゲロウのRNAseqデータをもとにbiliverdinの生合成と分解に関与する酵素をコードする遺伝子を明らかにし、大腸菌を用いて組換体を過剰発現して諸性質を検討した。次に、クサカゲロウの緑色個体および茶色個体間でこれらの酵素をコードするmRNAの発現量を比較したところ、発現量に違いが認められた。さらに、dsRNAを3齢幼虫に注射投与することにより各酵素をコードするmRNAの発現を抑制した結果、羽化した成虫は緑色であった。
ニッポンクサカゲロウの成虫を磨砕した後、各種カラムクロマトグラフィーで精製し、複数の色素を得た。得られた色素をQ-TOF MSにより質量分析し、体色を構成する色素の一つをbiliverdinと同定した。そこで、クサカゲロウのRNAseqデータをもとにbiliverdinの生合成と分解に関与する酵素をコードする遺伝子を明らかにし、大腸菌を用いて組換体を過剰発現して諸性質を検討した。次に、クサカゲロウの緑色個体および茶色個体間でこれらの酵素をコードするmRNAの発現量を比較したところ、発現量に違いが認められた。さらに、dsRNAを3齢幼虫に注射投与することにより各酵素をコードするmRNAの発現を抑制した結果、羽化した成虫は緑色であった。