[PS02-22] 衛星画像を用いた森林害虫マイマイガの被害推定と発生リスク予測
マイマイガは、周期的に大発生して樹木の葉を食い尽くす害虫である。このような食害による樹冠の変化を、衛星リモートセンシングによって検出することで、従来の現地調査よりも効率的かつ面的に害虫の被害がモニタリングできる。本研究では、マイマイガの発生動態の把握と予測を目的として、Sentinel-2衛星画像(解像度10 m)による2022年の富山県黒部市における被害面積を推定し、その被害データから富山県全域でのマイマイガの分布予測を行った。2022年の大発生時の被害前と後の衛星画像から算出した植生指数(NDVI)の差を被害の程度を表す指標として、この地域の被害分布を示したところ、被害面積は7.89 km2(全体の12.7%)と推定された。このNDVI減少量の大きい被害地点(計345点)を在データ、標高・斜度・斜面方位・土地被覆を環境データとして分布モデル(MaxEnt)を作成した結果、高い精度(ACU=0.93)で予測ができ、特に標高の寄与率が高かった。また、実際の幼虫の発生地点での予測確率は高かったものの、卵塊の発生地点では予測確率は低かった。これらから、衛星画像が分布予測での在データとして利用可能であること、マイマイガの分布予測では生活史段階を踏まえる必要があることが示唆された。