[PS02-32] ナミテントウ嗅覚受容体の応答特性情報による行動制御剤の探索
ナミテントウ(Harmonia axyridis)の成虫はアブラムシに対する捕食能力が高いため、生物的防除に効果的であり生物農薬として利用されている。しかし、昆虫特有の分散特性から圃場への定着が困難であり、安定性に欠けるという課題がある。このような状況から、ナミテントウの誘引、定着性を向上させるための行動制御剤の開発が望まれている。そこで本研究では、昆虫の嗅覚受容体(olfactory receptor: OR)の機能に基づいて誘引行動に関与する匂い物質のスクリーニングが可能であるか検証した。アフリカツメガエル卵母細胞発現系を用いた解析から、ナミテントウの誘引物質であるmethyl benzoate、methyl salicylateに対し、ORの一つであるHaxyOR8が応答を示すことが明らかになった。多様な匂い物質に対する応答解析からHaxyOR8はethyl benzoate(EB)に選択性に応答することを新たに見出した。さらに、EBは前述の2つの匂い物質と同様にナミテントウに対し濃度依存的な誘引効果を示した。これらの結果は、誘引活性が報告されている匂い物質をリガンドとするORの応答特性情報から、行動制御剤の候補となる匂い物質を効率的に探索できる可能性を示唆している。