[PS02-34] タバコカスミカメ成虫の誘引因子の解明
タバコカスミカメNesidiocoris tenuis Reuterは雑食性捕食者であり、トマトにおける生物的防除資材として利用されている。カスミカメの誘引因子を解明することは、行動制御の一助となり、効果的な農業利用が期待できる。本研究では、カスミカメのメス成虫を対象に、同種加害ナスと、被食者(ミナミキイロアザミウマThrips palmi Karny)加害ナスに対する誘引性を、Y字管オルファクトメーターを用いて調査した。カスミカメは健全ナスより同種メス食害ナス、アザミウマ400匹食害ナスを有意に選好したが、アザミウマ200匹食害ナスに対しては有意な選好性を示さなかった。そこで、アザミウマ加害ナスの揮発性物質を3日ごとに計10回、捕集・分析し、時間経過に伴う組成の変化を調査し、選好性が確認されたアザミウマ加害ナスと比較する。また、同種食害ナスの選好性において、誘引因子が産卵管、口針による物理的な傷か唾液であるかは不明である。そこで、交尾済みメス加害ナスと未交尾メス加害ナスの誘引性、物理的な傷をつけたナスと同種の唾液腺抽出物が誘導した植物揮発性物質に対するカスミカメの選好性を調査した。これらの試験結果からカスミカメの誘引性を最大にする要因を検討する。