日本昆虫学会第84回大会・第68回日本応用動物昆虫学会大会 合同大会

講演情報

ポスター発表

[PS02] ポスター発表(学生B:コアタイム2)

2024年3月30日(土) 12:30 〜 13:30 桜(学生) (桜)

[PS02-38] キャベツ葉面ワックスがアブラナ科植物食害昆虫の産卵行動に及ぼす影響

◯井上 昂大1、植野 樹1、大村 尚1、太田 伸二1 (1. 広島大院・統合生命)

先の大会において、キャベツに乾燥ストレスを与えると葉面ワックスが増加し、それがモンシロチョウの産卵を抑制すること、n-Nonacosane(C29)がワックスの主成分であることを報告した。本研究では、コナガとモンシロチョウを用いて、キャベツ葉面ワックス(成分)を人工的に除去または塗布することによる産卵への影響を調べた。生物試験には在来品種のキャベツとして金系201を用いた。ワックスを除去した脱脂葉では、天然のワックスを持つ無処理葉と比較して両種の産卵数は増加した。また、脱脂葉にC29標品を吹き付けた塗布葉では、無処理葉には及ばなかったが、両種の産卵数は減少する傾向を示した。これよりキャベツ葉面ワックスには産卵阻害効果があり、C29が主要因子の1つと考えられる。無処理葉、脱脂葉、塗布葉の葉面をSEMで観察したところ微細構造に大きな違いがあり、無処理葉では細かい粒状・クシ状の結晶構造が認められた。無処理葉に産下された卵は脱落しやすく、脱脂痕は結晶構造が剥離しており容易に識別できた。葉面ワックスの物理的性質(結晶構造)が産卵行動(産卵場所の選択)に影響を及ぼしている可能性がある。