[PS02-39] クロツヤツノツツハネカクシ Priochirus japonicus(ハネカクシ科:ツツハネカクシ亜科)の化学防衛物質と生理活性について
「ハネカクシ」とは甲虫目ハネカクシ科に属する昆虫で, 世界におよそ8万種が記載される動物界最大の分類群である。多様な二次代謝物質を産生することでも知られる。クロツヤツノツツハネカクシ Priochirus japonicus は危険を感じると独特の臭気成分を発する。この化学防衛物質の同定と生理活性評価を目的として研究を行った。虫体をジクロロメタン 50 µLに3分間浸し, 粗抽出物を得た。これをGCMSに供した。その結果, 主要成分は, 4-oxo-2-hexenal と limonene と推定した。次に, 4-oxo-2-hexenal の幾何異性体を決定するために, 分泌物のNMRを測定した。本種50 頭を ジクロロメタン 50 mLに5分間浸し, 粗抽出物 23.3 mg を得た。精製し, 黄色油状物質 6.1 mg を得た。これの1H-NMRおよび13C-NMRを測定した。また, limonene の絶対立体配置を決定するため, キラルカラムを用いて分析した。以上の結果から, 本種の主要分泌物質は4-oxo-(E)-2-hexenal と (4R)-(+)-limonene だと分かった。合成品 4-oxo-(E)-2-hexenal と 市販の(4R)-(+)-limoneneを用い, コオロギを用いた一般毒性試験と抗菌試験を行った。