[PS02-40] 殺虫剤ジノテフランに対するハキリバチ類の急性毒性と行動変化
ハナバチ類をはじめとする野生送粉者による送粉サービスの価値は,セイヨウミツバチ(養蜂)の3倍以上と推定されており,これら生物の保全は生態系サービスを維持する上で欠かせない.他方で,野生送粉者の個体数は減少の一途を辿っており,一因に殺虫剤汚染が懸念されている.生物保全には毒性データに基づく対策が不可欠であるが,現状,ハチ類に対する毒性評価は,産業利用される養蜂に限定され,マルハナバチやマメコバチ等一部の種を除き,野生ハナバチ類のデータはないに等しい.そこで本研究では,殺虫剤曝露が野生ハナバチ類におよぼす生態影響の情報基盤整備を目指し,足掛かりとしてハキリバチ類で行った.供試薬剤は,吸汁性の農業害虫を防除する際に散布され,野生ハナバチ類への曝露リスクが高いと想定されるジノテフラン剤とした.はじめに,バラハキリバチとツルガハキリバチに対する本剤の急性毒性を評価した次に,マメコバチを用いて,実現場で散布される濃度( 200g/ha)で本剤に曝露された際の行動変化(活動量,活動時間)を評価した.本報では,これまでに得られている結果について紹介する.