[PS02-43] ハチノスツヅリガの寄主選択と繁殖戦略
ハチノスツヅリガ(以下、ツヅリガ)は主にミツバチの巣を食害する大害虫である。ツヅリガはマルハナバチの巣からも発見されているが、寄主としてのマルハナバチの適性についての知見は少ない。さらに、ツヅリガがミツバチの病原体を保持し、巣間で伝播させることが示唆されているため、商品および野生巣への影響が懸念される。本研究では、ミツバチとマルハナバチの巣のツヅリガ幼虫の餌適性および、巣と雄成虫の抽出物への成虫の誘引を調査し、寄主に対する適応と繁殖戦略を明らかにすることを目的とした。ツヅリガ幼虫にマルハナバチの巣を給餌したところ、ミツバチの巣と比較して蛹の重量が有意に減少し、産卵数の減少傾向がみられた。また、誘引実験により、交尾後のツヅリガ雌成虫はミツバチの巣とマルハナバチの巣に同等に誘引されることが分かった。さらに、雌成虫は、雄成虫の抽出物よりもミツバチの巣に有意に誘引された。雄成虫もまた、ミツバチの巣に誘引されることが確認された。これらの結果から、ツヅリガにとってマルハナバチはミツバチほど好適ではないが、十分生育可能な寄主であるため、交尾後の雌成虫が誘引されると考えられる。また、雌雄の成虫がミツバチの巣に誘引されることから、産卵場所付近に雌雄が集まることで繁殖を行うと考えられる。