[PS02-44] 群馬県内圃場におけるタバココナジラミとTYLCV発生状況の調査
世界的農業害虫タバココナジラミは、生物学的性質の異なる44以上の遺伝型に分類される。その中でも侵入系統MEAM1とMED Q (Q1、Q2、Q3) は、両遺伝型ともに農薬への抵抗性が高く、トマト黄化葉巻ウイルス (TYLCV) の媒介能力も高い。TYLCVは、本種によってのみ媒介され、感染トマトは葉が委縮、黄変し、結実不良となる。我々は群馬県内の気候や生産される農作物が異なる平担地と中山間地双方において、近年TYLCV被害が多発していることに着目し、毎月のコナジラミ調査によりTYLCV発生との関係を明らかにすることを目的とした。平担地は前橋市の群馬大学共同教育学部附属農場、中山間地は昭和村トマト圃場を調査対象とし、採集個体遺伝型やトマトのTYLCV感染はPCRにより確認した。その結果、平担地では、MED Q1の発生が主 (2022年は97.2%、2023年は暫定84.0%) であった。中山間地では、2022年はMED Q1が8月~9月に検出された後、黄化葉巻病の発生が9月~10月に確認された。また、2023年においても、8月にMED Qが検出された。このように、従来、オンシツコナジラミの発生が主であった中山間地においても、MED Qの侵入が毎年発生していることが確認された。