[PS02-47] アカボシゴマダラからの新規バキュロウイルスの分離報告
アカボシゴマダラは2000年代に神奈川県で放飼され、定着した外来生物である。近縁の在来種や既存の生態系を保護するために、アカボシゴマダラに特異性のある微生物防除資材の利用による駆除が望まれる。演者らのグループは2006年9月に神奈川県横浜市にて特徴的なアカボシゴマダラの死骸を回収した。この死骸を乳鉢で摩砕、検鏡した結果、バキュロウイルスの産生する多角体に似た物体を確認し、精製・保存した。この保存した多角体様の溶液をあらためて2023年10月にアカボシゴマダラ幼虫に接種したところ、バキュロウイルス感染時特有の症状を呈して死亡した。接種したアカボシゴマダラ幼虫を乳鉢で摩砕し、精製した。この溶液を検鏡すると、同様に多角体様の物体を確認した。次に摩砕液からウイルスDNAを抽出し、バキュロウイルスの遺伝子に特異的な2つのプライマーセットを用いてPCRを行った。その結果、一方のプライマーでは既知のバキュロウイルスに近似したバンドの増幅を確認した。しかし、もう一方のプライマーでは増幅したバンドの大きさにはずれがあった。これは既知のバキュロウイルスと異なる可能性も考えられる。そこで本研究では、防除資材として利用できる可能性を持ったアカボシゴマダラ由来バキュロウイルスの初の分離報告をする。