[PS02-52] チョウ目害虫とカ類に対して有効な微胞子虫による新規微生物防除資材の開発
微胞子虫は菌類の一種であり、様々な動物に感染する。昆虫感染性微胞子虫は微生物防除資材として期待されており、既に作物を食害するバッタ類に対して有効な微胞子虫が市販化されている。その一方で、その他の害虫に有効な微胞子虫が市販化された事例はない。そこで、演者らはチョウ目害虫のハスモンヨトウに有効な微胞子虫の探索を行った。探索の結果、野生ハスモンヨトウから大型微胞子虫の2株を分離した。昨年の前回大会において、この2株は胞子サイズ測定によりTrachipleistophora属の可能性があり、ハスモンヨトウとカイコに対して感染性を示したことを報告した。そこで、本研究ではこの2株の性状解明を目的に、カイコへの経口接種による胞子形成様式の観察とSSUrRNA解析による種の推定、孵化特性の調査を実施した。SSUrRNAの配列解析の結果、1株はTrachipleistophora属、もう一方はVavraia属に類似していたことが判明した。Vavraia属微胞子虫の1種はカを主な宿主とする。そのため、後者の株はハスモンヨトウおよびカの防除を可能とする利用範囲の広い株であり、カイコ利用による省力的な資材化も可能であろう。本発表ではこれらの2株の特性について報告し、資材としての利用価値を検討する。