[PS02-64] タバコカスミカメ利用時のトマトとバンカー植物間のコミュニケーション
植物は植物間でコミュニケーションをとり,植食者に摂食された植物が放出する香りを受容した健全な植物が前もって防衛を開始することが知られている.施設トマトでは,コナジラミ類の有力な天敵であるタバコカスミカメ(以下,カスミカメ)を維持するために,カスミカメの餌となるバンカー植物としてクレオメが栽培されることがある.カスミカメは植物を吸汁し,吸汁された植物は特異的な香りを放出することが知られていることから,カスミカメから吸汁された植物の香りを介してトマトとバンカー植物間でコミュニケーションがとられている可能性がある.本研究では,クレオメの香りによりトマトの防衛が誘導されるかどうか評価するために,カスミカメまたはナミハダニに吸汁されたトマトまたはクレオメの香りを受容した健全なトマトの防衛応答と,健全なトマトまたはクレオメの香りを受容した健全なトマトの防衛応答を比較した.本発表では,カスミカメの吸汁により植物が防衛を誘導させるかどうか評価した結果も合わせて,トマトとバンカー植物であるクレオメとの植物間コミュニケーションが施設トマトにおける害虫防除へ及ぼす影響を議論したい.