[PS02-66] 野外における、大流行に伴ったLdMNPVの活性と遺伝子型の変化
マイマイガ核多角体病ウイルス(LdMNPV)は、森林害虫であるマイマイガに特異的に感染するウイルスである。LdMNPVは約10年周期で起こるマイマイガの大発生に続いて流行することで大発生の終息要因の一つとなっている。しかし、マイマイガの大発生終息後、次の大発生までの間どこでどのように活性を保っているのかは明らかになっていない。本研究は野外におけるLdMNPVの動態を明らかにすることを目的とし、2019年にマイマイガの大発生が、2020年にLdMNPVの流行が確認された山梨県甲州市の山林においてウイルスの活性と遺伝的な多様性を調査した。同年の流行前後の土壌から殺虫活性を保ったウイルスが検出され、さらに流行から2年後の土壌にも高い活性を保ったウイルスが確認された。また、2020年の流行前後の土壌サンプルにおいて、最も優占している遺伝子型に変化がみられた。環境耐性の面から特性を比較するため流行前後の土壌において最も優占していた遺伝子型を用いたUV照射実験では、流行前土壌で優占していた遺伝子型がより高いUV耐性を示し、環境耐性の違いが確認された。