[PS02-67] シロイチモジヨトウにおけるPKF遺伝子の機能解析
寄生蜂致死因子(Parasitoid killing factor: PKF)は昆虫ウイルスやチョウ目昆虫のゲノムにコードされており、PKFタンパク質は一部の寄生蜂幼虫に対して毒性を有することが明らかになっている。シロイチモジヨトウ Spodoptera exiguaの体液はアワヨトウ Mythimna separataの寄生蜂であるカリヤコマユバチ Cotesia kariyaiの幼虫に対して毒性を有するが、RNA干渉によりPKFの発現を抑制するとその毒性が低下する。このことからシロイチモジヨトウのPKFはカリヤコマユバチに対して毒性を有することが示唆されていた。しかし、体液中にPKF以外の毒性成分が存在するのかは不明であった。本研究ではこの疑問を明らかにするために、ゲノム編集によりPKF遺伝子(pkf)をノックアウトしたシロイチモジヨトウを作出し、その幼虫体液のカリヤコマユバチ幼虫、培養細胞(CK1)に対する毒性を調べた。その結果、pkfの欠損によりシロイチモジヨトウ体液の寄生蜂幼虫、培養細胞(CK1)に対する毒性、アポトーシス誘導活性が有意に低下した。このことから、シロイチモジヨトウ幼虫の体液におけるカリヤコマユバチに対する主要な毒性因子は、PKFであることが示された。