[PS02-69] ハスモンヨトウに対する青色光の殺虫効果
ハスモンヨトウは薬剤抵抗性の発達が問題となっている重要な広食性農業害虫である.一方,青色光は様々な昆虫種に殺虫効果を示すことが報告されており,ノンケミカルな害虫防除法として注目されている.そこで本研究では,ハスモンヨトウに対する青色光の殺虫効果を調査した.408~465 nmの青色光を初齢幼虫に10 × 1018 photons·m-2·s-1で照射したところ,417および465 nm照射区は全暗区よりも高い死亡率を示した.次に,417,439,465 nmの青色光を15 × 1018 photons·m-2·s-1で照射したところ,どの照射区も死亡率が上昇した.以上より,青色光は本種初齢幼虫に殺虫効果をもち、効果的な波長は417および465 nmであることが示された.次に,幼虫期間中,408または465 nmの青色光を照射し続け,より長期間の照射による効果を調査した.その結果,465 nmでは全て初齢で死亡し,408 nmでは60%が蛹化前に死亡した.408 nm照射区で蛹化した個体は全暗区よりも小型化する傾向がみられ,408 nmにも幼虫に対する発育抑制効果はあると考えられた.以上から,初期幼虫のうちに青色光を照射することで、摂食量が増加する発育前に本種を殺虫できる可能性が示された.