[PS02-71] アロマオイルの香りがナミハダニの忌避に及ぼす影響
薬剤抵抗性など様々な問題を抱える害虫防除において合成殺虫剤以外に様々な害虫防除技術を開発しておくことは重要である.テルペン類のように植物が持つ揮発性成分には,害虫を忌避する効果を持つものが存在し,忌避植物として害虫防除に利用される植物がある.アロマオイルにも,モノテルペンやセスキテルペンなどのテルペン類の揮発性物質が含まれているため,ユーカリ油のように害虫忌避へ利用されるものがある.本研究では,重要害虫のナミハダニの害虫忌避剤としてアロマオイルを利用できるかどうかを評価するために,クエン酸トリエチル(以下,TEC)を用いて1%濃度に調整したユーカリ・レモン,ニアウリ,ヨモギ,コーヒー,シナモンの5種類のアロマオイルの香りに対するナミハダニの忌避を調べた.ユーカリ・レモン,ニアウリ,ヨモギ,コーヒーのそれぞれ香りとTECのみの香りをナミハダニに選択させた結果,ナミハダニはどちらの香りにも選好性を示さなかった.一方,シナモンの香りとTECのみの香りをナミハダニに選択させた結果,ナミハダニはTECのみの香りを選好性し,シナモンの香りを忌避した.以上のことから,ナミハダニが忌避するアロマオイルの存在が確認でき,アロマオイルを用いてナミハダニを防除できる可能性があることが示された.