[PS02-76] 露地ナス圃場へのオクラ植栽によるヒメハナカメムシ類の温存効果の再検証
オクラには土着天敵であるヒメハナカメムシ類 (以下、ヒメハナ)の温存効果がある。露地ナス栽培ではオクラを隣接して植栽することがあるが、その効果の根拠については科学的検証が必要である。そこで本研究では、オクラの植栽によるヒメハナの温存効果を改めて評価するため、2021年から2023年の3年間、5月から9月にかけて、明治大学生田キャンパスの露地圃場にナスのみを定植した「対照区」とナスの周囲にオクラを植栽した「試験区」を設け、ナス株上のヒメハナおよびアザミウマ類の個体群動態を比較した。また、対照区および試験区においてヒメハナを採集し、マルチプレックスPCRにより同定した種構成を比較した。5月上旬にナスを定植し、オクラを5月下旬に植栽したところ、試験区では2021年および2022年の調査において、隣接するナス上のヒメハナ個体群は対照区よりも早く成長し、2021年および2023年の調査では、最大個体数が対照区よりも増加した。一方、種構成では、2022年の結果から両区でナミヒメハナカメムシおよびコヒメハナカメムシが優占し、その構成比に区間差はなかった。これらの結果から、オクラはナスの露地栽培にてヒメハナの天敵温存作物として有効だと再評価できる。