[PS02-84] 地表徘徊性昆虫類の放射性セシウム濃度と食性の関係
原発事故後の調査により、昆虫類への放射性セシウムの移行において、腐食連鎖が主要な移行経路となることが示唆された。しかし、主な餌資源を腐食連鎖に依存する地表徘徊性の昆虫類への放射性セシウムの移行状況については、ほとんど明らかになっていない。本研究では原発から北西11 kmの山林内において、ピットフォールトラップで採取した昆虫類の137Cs濃度をGe半導体検出器で定量した。その結果、測定したすべての昆虫類から137Csが検出された。カマドウマ科およびコオロギ科で高い傾向を示し、最も濃度の高かった種は、マダラカマドウマで、5.4~48.8 Bq/gであった。一方、シデムシ科は比較的低い傾向を示し、最も低かった種は、ヨツボシモンシデムシで、1.8~6.1 Bq/gであった。これら137Cs濃度の違いは、昆虫類の食性を反映していると考えられたため、炭素・窒素安定同位体比分析を実施した。本発表では、昆虫類の 137Cs濃度と炭素・窒素安定同位体比から推定された食性の関係について報告する。